宮本昌孝
単行本: 306ページ、266ページ
出版社: 講談社
言語 日本語
ISBN-10: 4062165015
ISBN-13: 978-4062165013
発売日: 2010/9/10
冒頭、始まって7ページ目で26歳の家康が殺される。兄弟だという僧侶の見舞いにいく途中、鉄砲の一斉射撃を受けたのだ。
家康の忠臣である世良田次郎三郎はその死を隠す方策を思い巡らせる。せめて何年か秘密を通せば、嫡男信康の時代が来る。そう思ったのだ。
歴史の裏側好きにはたまらない影武者もの。
隆慶一郎の「影武者徳川家康」は、関が原で殺された家康の影武者を務める男の話だったが、今回はまだ26歳の家康。徳川家などまだまだ浜松の小さな豪族で
しかない。敵は武田家はじめ、衰えたりとはいえ今川、真田などあまたの武家が周囲をうかがっている。織田からの圧力もかかってくる。
次郎三郎が替え玉に選んだのは冒頭に家康が尋ねようとしていた恵最という僧侶。異母弟だというが、瓜二つなのだ。そして二人は生年月日もまったく同じ。ここに大きな秘密が隠されている。
次郎三郎が替え玉に選んだのは冒頭に家康が尋ねようとしていた恵最という僧侶。異母弟だというが、瓜二つなのだ。そして二人は生年月日もまったく同じ。ここに大きな秘密が隠されている。
傷を負った家康が治療中であるとして、半年の間、姿を隠し、徳川宰相としての教育が進む。そして恵最もそれに答えて立派な徳川家康に変貌していく。
その間、次郎三郎は恵最の背後を探る。生まれ、育ちは、そして家康の影武者を引き受けた目的は。なぜこうまで家康に成りきれるのか。時代は徳川家を翻弄する。
家康の長男、信康に対する周囲の期待、それに応える家康の本音は?
次郎三郎は家康の野心を押しとどめるべく奔走するのだが、歴史の波は我々の知る歴史の通り進んでいく。この辺りがおもしろい。
そして、武田家の興亡、足利将軍家の滅亡、織田信長の台頭、それに大きく貢献する徳川家。
だが、信長の魔手は・・・
じつのところ、信康の存在が大きくなってきたころから、あれ、これは、と思い始めたが、事実は曲げられない。そう、歴史の大きな真実。こう信長がからんでくるとは思わなかった。
終章、あっと驚く仕掛けで読者を納得させる。
歴史の狭間で遊ぶ面白さを堪能する一冊。
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