2011年9月13日火曜日

夏はやっぱり、しゃばけの季節

「やなりいなり」
畠中恵

単行本: 253ページ
出版社: 新潮社
言語 日本語
ISBN-10: 4104507148
ISBN-13: 978-4104507146
発売日: 2011/7/29

 おなじみ、廻船問屋・長崎屋の病弱な若だんな一太郎と、その取り巻きの妖怪たちがはしゃぎまわる大江戸妖怪騒動。今回は5篇の短編集。それぞれにレシピがついており、なにやら、みをつくし料理帖のおもむき。

●こいしくて
 京橋の橋姫さま。結界を守っているはずなのに、なぜか行方不明。おかげで通町には疫病神たちがあれこれ現れて大変な騒ぎに。どうやら
橋姫さまはだれかに懸想しているようだが。

●やなりいなり
 おいしい稲荷ずしを食べようと集まったときに幽霊が透明な手を延ばしてきた。事情を聞いてみると、なにやら寄席芸人の幽霊のようだ。この世に未練をもっているのだろうが、一太郎たちに助けることができるのだろうか。

●からかみなり
 この三日ばかり、長崎屋の主人藤兵衛の姿が見えない。空雷も激しいし、なにか気になることが起こりそう。妖たちはあれこれ推理をめぐらすが、藤兵衛は思わぬ近くに居て・・・

●長崎屋のたまご
 ゆで卵に顔を描いて遊ぶのが好きな鳴家(やなり)たちが、空から落ちて来た卵を見つけて追いかけ回す。あとからあとから奇妙な神様たちが現れてくる。兄弟を探しているというのだ。

●あましょう
 雨が降りそうな空具合だからと一太郎は外へ出してもらえない。さっきまで晴れていたのに、誰か雨性の人が出掛けたのだろうか。友の栄吉のお菓子屋へは駕篭で出掛けることを許されたのだが、そこで、幼なじみらしい若者たちの喧嘩さわぎに巻き込まれて。
 
 おなじみの妖怪たちに加えて、今回はいろいろな神様、幽霊、空に住む妖魅たちまで現れて、にぎやかな一巻。
 前作の「ゆんでめて」では、全体を通したストーリーが浮かんで来たが、今作は全体を通じてのムードが一貫しており、妖怪たちの活躍は今ひとつながら、一太郎と他のあやかしたちとのつきあいが発展していく、はちゃめちゃ篇。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿

爺の読書録