2010年10月4日月曜日

ほのぼの妖怪たちにまた逢える

「ゆんでめて」
畠中 恵

単行本: 263ページ
出版社: 新潮社
ISBN-10: 4104507121
ISBN-13: 978-4104507122
発売日: 2010/07/30

おなじみ超虚弱体質の若だんな・一太郎が、これまたおなじみの妖怪たちと繰り広げる冒険の数々。「しゃばけ」シリーズも今回が9作目。
今回は火事で行方知れずになった「屏風のぞき」を探す若だんながふと行き会った分かれ道から物語が始まる。
●第一話「ゆんでめて」
ゆんでとは弓手、つまり左手。めて=馬手とは馬の手綱を持つ右手。結局左右の手のこと。この小説では分かれ道としての左右のこと。兄の店を訪れようと思った一之助がふと、左にとるか右にとるか、と思い悩んで踏み出した一歩が、全編を通して一連の運命を暗示していく。
数年前の火事騒ぎのさなか大けがをした屏風のぞきを修理に出したのが失敗して、行方不明になってしまった事情と、その行方をうらなう謎の少年。
●第2話「こいやこい」
その前年、新しい友達の唐物屋の縁談にまつわる騒動。幼なじみの結婚話に付き合わされて、若だんなにもほのかな恋心が・・・
●第3話「花の下にて合戦したる」
その前年、第1話からは2年前。桜の花びらの妖精に導かれて、妖怪オールキャストでおとずれた飛鳥山のお花見騒動。
●第4話「雨の日の客」
表紙裏に描かれた、素敵に格好のいいお姉さんが登場する。若だんなを見守る長身の佐助の衣装をまとっても様になる男勝りの女の子。さて、何者か。江戸に降り続く雨の中、妖怪たちの戦いがクライマックスを迎えたとき・・・。実は第1話の3年前。
●第5話「始まりの日」
すべての始まりとなる日。一太郎は生まれたばかりの甥っ子を訪ねて行ったが、その途中に出会ったイキガミさまを追いかけて行って、右左を見失い・・・。
と、お話は第一話につながり、物語が逆転していくという構成。

9作目の今回も、ほのぼの感が充満。妖怪たちも元気だが、屏風のぞきの一件は、あれ、と思いながら読み進めると、あれれれれ、という展開になって・・・。
図書館のリクエストがまだ69件も残っている超人気作品。
夏はしゃばけのシーズン、とのコピーがあったが、「秋になってもしゃばけのシーズン」。

0 件のコメント:

コメントを投稿

爺の読書録