2010年3月28日日曜日

「風の中のマリア」

今回、データがこわれてしまい、
アップが遅れましたことをお詫びします。
といっても、誰にも迷惑はかけてないんだけどね。

というわけで、少し前に読了した、少し古いご本ですが。
最近有名ですが、筆者は「探偵ナイトスクープ」などの構成作家さん。

「風の中のマリア」
百田尚樹

単行本: 258ページ
出版社: 講談社 (2009/3/4)
ISBN-10: 4062153645
ISBN-13: 978-4062153645
発売日: 2009/3/4

昨年の話題作である。
前回アップした「ブラッド・メリディアン」に勝るとも劣らない、すさまじい殺戮の現場が描かれる。多種族の生物と見れば、それは殺して食べ物にし、子供の栄養素としてその肉を持ち帰るための対象にすぎない。たとえそれが幼い子供であれ、その種族の王であれ、相手の地位は問わない。自分が殺戮のために生きていること、種の存続のために活動することだけが自分の存在理由であると自覚している。だからからこそ燃焼するエネルギー。それもそうだ、主人公は30日の命しかもたない。
疾風のマリア。キルステン、サンドラ、クララ、「偉大なる母アストリッド」、アンネ・ゾフィー。国籍不明の名前が大勢出てくる。だが躊躇することはない。出て来ても何ページかあとには皆、死体となって地に落ちていることになる。ヴェスパ・マンダリニア。日本ではオオスズメバチといわれる。
マリアはハンターなのだ。巣を守り、種族を維持し、次の種族を生み出すための時期に生まれ、自分の勤めを果たしたときには死に行く運命を担ったオオスズメバチのハンターなのである。
ハチの生態、種族保存のための活動、それを阻もうとする自然界の脅威の実態、DNAの謎、ゲノム保存のための知恵の発揮には驚かされる。
単なるハチの小説ではない。ハードボイルドともいえる。子供向き、大人は読むに耐えないなどの批判もある。じゃが、爺は、批判はしないぞ。読んだ時間、その物語に入り込んだ時間そのものが大事なのじゃ。
そうでなければ、「探偵ナイトスクープ」ファンとはいえないもんね。

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