岡田 秀文
349ページ
出版社: 光文社
ISBN-10: 4-334-92355-0
発売日: 2002/3/25
ようやく授かった我が子・お拾(ひろい)にすべてを譲り渡したい……太閤秀吉は、実の甥である関白秀次(ひでつぐ)を疎ましく思い始めていた。 危機感を抱いた秀次の側近・木村常陸介(きむら・ひたちのすけ)は、大盗賊・石川五右衛門に太閤の暗殺を依頼した! 迎え撃つ石田三成と前田玄以(まえだ・げんい)の秘策とは? 本格時代小説にして本格ミステリー。戦慄のラストに驚愕必至の、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作!
「おすすめ文庫王国・時代小説部門」第1位に輝く傑作が復刊!
というのが、今回の文庫化に際してのウリ。
2002年に初版、2004年に文庫化されていた本だが、今回双葉社での文庫化で、またまた話題になっている。
あらすじどおりの展開ではあるのだが、一筋縄ではいかない。
秀次を仰ぎ、その将来を楽しみにしていた木村常陸介だが、ここにきて秀次に愛想が尽きてくる。そのわがままぶり、暴虐ぶりに、自分のこれまでの努力は何だったのだ、と慨嘆する。
石田三成は悪役だが、それに徹しているところがすごい。だが、腹心の島左近にも自分の思うところをさらけ出さず、なにやら画策しているふう。
そこで、主役の前田玄以の活躍が光る。京都所司代として組織をまとめ、ひっぱる。だが、その思惑より事態が先に進んでしまう。
石川五右衛門。鍛え抜かれた肉体と忍びの術ともいえる技をもち、太閤暗殺に全精力を傾ける。
彼らが太閤を狙い、そして防御する側はその動きを阻止せんと、先手をとり、後の先を取ろうとする。
だが、最後に笑うのは豊臣秀吉その人である。
太閤は何かを恐れ、何かを画策している。
太閤暗殺は歴史上あり得ない。
しかし、その裏に蠢く男どもは、確かにいた。
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