本はもっぱら図書館で借りて読む。
したがって新刊は少ない。半年遅れならましなほう。
本はもっぱら通勤電車の中で読む。
したがって感想は遅い。
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2012年7月8日日曜日
ベヒモス、そして新種の知性獣も登場
「ベヒモス」 ―クラーケンと潜水艦―
スコット・ウエスターフェルド (著),
小林 美幸 (翻訳)
単行本: 453ページ
出版社: 早川書房
言語 日本語
ISBN-10: 4153350044
ISBN-13: 978-4153350045
発売日: 2012/6/8
英国の飛行獣リヴァイアサンは親ドイツ化するトルコへ。そこで脱走を試みたアレックが出会ったものは!? 人造獣が空を舞い、機械兵が地を駆ける第一次世界大戦で、少年少女の心の絆が試される!
イギリスなど遺伝子操作を駆使する〈ダーウィニスト〉と、ドイツら機械工学を発展させた〈クランカー〉、対立するふたつの勢力はついに世界大戦に突入した。英国海軍が誇る巨大飛行獣リヴァイアサンは、オスマン帝国へ赴く。急速に親ドイツ化しつつあるトルコで、皇帝を説得する任にあたるノラ・バーロウ博士を運ぶためだ。男装の士官候補生デリンは、博士とともにドイツ軍の侵攻を目撃する。一方、亡きオーストリア大公の息子アレックはイスタンブールで逃亡を図るが――デリンとアレック、ふたりの友情が革命の鍵となるスチームパンク冒険譚、激動の第二部。
イスタンブールに到着した巨大飛行獣リヴァイアサン。
今の身分はオーストリア大公となるアレックは、飛行獣から脱出、降り立ったイスタンブールで、アメリカ人の新聞記者・エディ・マローンと知り合う。
デリンことディラン・シャープはアレックとは異なるルートで記者と遭遇、アレックがつかんだドイツ軍の情報から、その陰謀を阻止するべく、イスタンブールに舞い降りる。
少年少女スチームパンクともいうべきSF大作。
今回はイスタンブールという西洋とアジアの境目にある街で、ドイツ軍の侵攻を食い止めるべく活躍する姿が描かれる。
そして、魅力的な脇役。
イスタンブールの政治動向を見極めようと暗躍する、統一と進歩委員会の謎の婦人・サヴェン。
その孫娘であるリリトは、デリンを女とは知らず、彼女に恋心を抱く。奇妙な三角関係がかもし出されるが、こちらもデリンの正体を知らないアレックは、デリンを冷やかすばかり。
そして、何より素晴らしい存在は、前巻でダーウィニストのノーラ・バーロウ博士が運び込んだ卵から生まれた、知力ある人造獣。その名も才知ロリスと名付けられ、ポケットコンピューターのような存在にも見えて来る。まだまだ人の真似をするだけだが、巻末、2頭に増えたロリスたちは互いにおしゃべりを始める。今後の発育が楽しみ。
タイトルのベヒモスは最後に活躍するだけだが、水中獣としてドイツ軍に手痛い打撃を与える。
そして、ふたたびリヴァイアサンに戻ったアレックとデリンだが、ローマ教皇の死去にともない、アレックの身分を保障した勅書はどうなっていくのか、など波乱含みのまま、リヴァイアサンは東へ、アジアへ向かって飛行を始める。
次巻、最終巻、世界はどこへ向かっているだろう。
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