2011年6月16日木曜日

よろこびはここにある。18世紀のヴェネツィアへようこそ

「ピエタ」
大島真寿美

単行本: 336ページ
出版社: ポプラ社
言語 日本語
ISBN-10: 4591122670
ISBN-13: 978-4591122679
発売日: 2011/2/9

 わたしはエミーリア。
 45年前、ピエタに預けられた。
 ピエタとは慈善院。そう、わたしは捨て子だったのだ。

 そして、きのう、ピエタを育て上げてきたヴィヴァルディ先生の訃報が届けられた。
 わたしと親友のアンナ・マリーアはピエタを生き残らせるための方策を進める。
 なんといってもヴィヴァルディ先生あってのピエタだった。
 わたしとアンナ・マリーアはピエタの<合奏・合唱の娘たち>の一員であり、そのピエタの音楽を、いや、ヴェネツィアの音楽を、世界の音楽をリードしていたのはヴィヴァルディ先生だった。

 そして、ヴェロニカ。
 彼女は貴族の娘でありながらピエタでヴァイオリンを奏でていた。ただ、技術的には自分でも認めているのだが、ただの一員でしかなかった。
 ヴェロニカは先生の遺産の整理にともない、昔、いたずら書きをした楽譜の存在をほのめかす。
 楽譜の裏に、手書きで詩を書いたという。その楽譜を取り戻したいのだそうだ。

 その楽譜を探すうちにいろいろな人々と出会うことになった。
 まず、ヴィヴァルディ先生の姉妹たち。プリマ・ドンナとして名を馳せるジロー嬢もいるが、今は落ちぶれた貴族のお姉様。
 そしてヴェネツィアでは有名な高級娼婦のクラウディア。彼女の存在こそが先生の真実の姿をあばき出す。
 
 ヴェロニカの探す楽譜は見つからないまま、わたしたちの捜索は幕を閉じる。

 そしてその後、何年かの後、全ての解決が訪れる。

 1741年のヴェネツィアから始まる物語。
 わたしたちの、そして、ヴィヴァルディ先生の生きた時代をご覧下さい。


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