2012年3月7日水曜日

謎解きは続く、ディナーの後にも


「謎解きはディナーのあとで 2」
東川 篤哉

単行本: 256ページ
出版社: 小学館
言語 日本語
ISBN-10: 4093863164
ISBN-13: 978-4093863162
発売日: 2011/11/10

毒舌執事&令嬢刑事の活躍を描く、第2弾! 

2011年の本屋大賞第1位を獲得し、ミリオンセラーとなった『謎解きはディナーのあとで』の第2弾が、早くも刊行です。ミステリ界の新たな名コンビ(!?)となった毒舌執事と令嬢刑事が、鮮やかに事件の真相を明らかにしていきます。
宝生麗子は、世界的に有名な宝生グループのお嬢様にして、国立署の新米刑事。麗子は、上司でかつ風祭モータースの創業者の御曹司である風祭警部と捜査に当たりますが、真犯人を特定するまでにはいくつかの謎があり、捜査は難航するかに思えます。
そこに現れるのが、宝生家の執事にして、麗子のお抱え運転手である影山です。「本当は、プロ野球選手かプロの探偵になりたかった」という影山には、麗子の話を聞いただけで、事件の謎を解いてしまうという眼力がありました。麗子に向かって時に厳しい毒舌を吐くのが、玉にキズなのですが……
テンポのいい二人の会話や、風祭警部のミョーな存在感など、前作同様の楽しさいっぱいの本格ユーモアミステリです。
小説誌「きらら」に連載された5編に、書き下ろしを加えた全6編。
そして、今回のラストでは、とんでもない展開が待っています!
早くも、次が読みたくなる…… 

【編集担当からのおすすめ情報】 
1冊目で話題になった中村佑介さんのイラストを、今回はカバーだけではなく、いろいろと使わせていただきました。

第1話 アリバイをご所望でございますか
 三角関係のもつれから殺害されたとみられる35歳の女性。
 宝生麗子と風祭警部は、女性のアパートがある国分寺から立川までの距離を、クルマと電車で調査して犯行時間を割り出すことに成功。ところが、麗子から調査結果をもとにした推理をきいた執事の影山は
 「失礼ながらお嬢様――先ほどから、のうのうとソファでくつろいで、高いワインをがばがば飲みながら、これにて一件落着みたいな顔をしていらっしゃいますが、本当にそれでよろしいのでございますか」

第2話 殺しの際は帽子をお忘れなく
 工場を改装した優雅な部屋でひとりの女性が殺されていた。部屋に設置してある猫脚つきの浴槽で溺死していたのだ。被害者が贔屓にしていた帽子店の店員が部屋をみまわして発見する。「あら、クローゼットにしまってあった帽子が全部無くなっている」
 影山は帽子のあれこれについて薀蓄を足れながら、こういう。
 「失礼ながらお嬢様、お嬢様は冗談をおっしゃっているのでございますか。もしそうだとするなら、『ウケる~』でございます」

第3話 殺意のパーティにようこそ
 麗子の同級生の父親のひとりが還暦のパーティーを開く。同級生達が集まってかしましいばかりだが、そこで、ひとりの友人が何者かに殴打される事件が発生。命は助かったが、被害者の証言では、赤いドレスを着た犯人の胸元に大きな緑色の宝石が輝いていた、というのだ。
 麗子に手伝わせて、ひと芝居うつために影山は
 「詳しく説明していたら日が暮れてしまいます」

第4話 聖なる夜に密室はいかが
 クリスマスイブの朝。国立周辺は雪の朝を迎えた。麗子は執事の影山と口喧嘩して、バスで通勤することに。ところが、降り立ったバス停で事件発生の知らせを聞く。雪にとざされたアパートで、女性が自室のロフトの階上から転落して死んでいるというのだ。
 折悪しく、ジャガーでの通勤をあきらめた風祭警部がバスに乗ってあらわれ、聞き込み調査が始まる。
 野球賭博に負けて、ケーキ屋で店頭販売の手伝いをしていた、サンタクロースに扮装した影山は
 「大変失礼ながら、お嬢様の単純さは、まさに幼稚園児レベルかと思われます」

第5話 髪は殺人犯の命でございます
 国立市の資産家・花柳家の豪邸の一室で、花柳姉弟のいとこが刺殺されていた。
 それも髪の毛をバッサリ切り取られ、その髪の毛を暖炉で燃やされていたのだ。
 凶器はナイフなのだが、髪の毛はハサミで切り取られている。影山は不審に思いながら
 「これだけの情報を得ておきながら、まるで真相にたどり着けないとは、お嬢様は頭がお悪いのではありませんか」

第6話 完全な密室などございません
 国立市の片隅にある広大な松下画伯邸で、松下慶山画伯その人が刺されていた。
 そのアトリエには巨大な壁があり、画伯自身の手になるフレスコ画「眠り姫と妖精」が描かれている。 
 第一発見者のふたりの女性によると、事件が発生した瞬間に、このアトリエから出入りした人間はおらず、それを信ずるならばこのアトリエは密室状態となる。
 麗子はひととおりの捜査の経過を説明し、自分の推理を影山に明かすと、感極まった影山は
 「ああ、お嬢様! まさにお嬢様のおっしゃったとおりでございます。確かに、お嬢様の凡庸な閃きなど、誰かに話すほどのものではございません。聞くだけ時間の無駄でございました」

 昨年にはドラマ化され、この第2巻からもすでに何作かが映像化されている。それを思い出しながら読み進めたが、やはり櫻井くんや北川景子さんの顔や声が浮かんでしまう。ビジュアルの力はおそろしい。
 ただ、ドラマで執事の影山役の櫻井くんが「謎解きはディナーのあとにいたしましょう」と、CMの前にいうシーンは余計なような気がするのは爺だけだろうか。
 それにしても、ガールズ・ミステリー。面白いのだが、6話のうち被害者が女性5人というのは、少しかわいそう。
 超話題作ということで、図書館の予約リクエストもまだまだ3ケタ台を保持している。
 読むのにさほど時間がかからない、肩の凝らない一冊。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿

爺の読書録