2013年1月23日水曜日

ひなこまち騒ぎに湧く江戸の町で

「ひなこまち」
畠中恵著

単行本: 253ページ
出版社: 新潮社
言語 日本語
ISBN-10: 4104507164
ISBN-13: 978-4104507160
発売日: 2012/6/29


お江戸のみんなが、困ってる!?  大人気「しゃばけ」シリーズ最新刊。いつも元気に(!?)寝込んでる若だんなが、謎の木札を手にして以来、続々と相談事が持ち込まれるようになった。船箪笥に翻弄される商人に、斬り殺されかけた噺家、霊力を失った坊主、そして恋に惑う武家。そこに江戸いちばんの美女探しもからんできて――このままじゃ、ホントに若だんなが、倒れちゃう! シリーズ第11弾は、いつもの年より一月早いお届けです!

 いつもは夏に読む「しゃばけ」シリーズだが、今回予約が遅れてしまって、半年遅れの「冬しゃばけ」。いやいや、季節には関わらず、いつ読んでもおもしろい。ピークが桜のころの話になるので、春に向けての気持ちの準備もかねて、大いに楽しませていただいた。
 
 長崎屋の荷物にまぎれて「お願いです、助けてください」と書かれた木札がどこからか舞い込んでくる。ここから若だんな・一太郎の冒険が始まる。

『ろくでなしの船箪笥』
 友人の七之助が上方から持ち帰った船箪笥。なぜだか引き出しが開けられない。たしか荷物の中には上方の根付けが入っているだけなのに。そして店に怪異が現れる。誰もいない部屋で奇妙な影が現れたり、魚が急に腐ったりするのだ。そのわけは・・・

『ばくのふだ』
 広徳寺の住職が悪夢から人を救うという「獏の札」を配っているのだが、それがまったく効かなくなっている。そのために、江戸の町に怪異が続く。悪夢を食べる獏が消えてしまったのだという。 
 ある夜、落語を聴きに寄席に出向いた若旦那はそこでも怪異に出会う。怪談話そのままに幽霊が歩き始めた。そして怪談噺が得意な噺家を、浪人がなぜかつけねらっているのだ。
 噺家は本島停馬久という、獏の化身だった。
 
『ひなこまち』
 大江戸美人コンテスト、雛小町えらびが始まった。ひなこまちに選ばれた美女は、来年のひな祭りのお雛様のモデルになるという。ひなこまちに選ばれればどこかの大名の側室に選ばれることもあるかもしれない。若い娘たちは夢中だ。それにあやかって盗品の着物を売ろうとする悪者なども現れて大騒ぎ。古着屋の美人娘の於しなが古着を盗まれて困っているところに一太郎が出くわす。

『さくらがり』
 少し訳ありで、若旦那には昨年の桜見物の記憶が飛んでしまっている。広徳寺に桜見物に出掛けた若旦那や妖たちのもとに、河童の禰々子が大利根河童の手土産を持って訪れる。それは河童の秘薬と呼ばれる何種類かの丸薬だった。
 たまたま寺に桜見物に来ていたお侍・安居さまが、その中の「惚れ薬」を欲しそうにする。安居の妻で、子供ができずに悩んでいる雪柳が出家しないよう、その薬で繋ぎ止めたいのだという。
 そしてさくらがりに出向いた一同は、夢ともうつつともわからないままに・・・

『河童の秘薬』
 いよいよ雛小町選びが始まり、一太郎も西方の選考をまかされることに。
 安居の妻・雪柳も河童の秘薬を飲んでしまい、一同の夢の中でひとりの子供に出会う。その子供が誘拐され、芝居小屋に連れ込まれてしまう。
 さて、その子供の正体は。そして、始めに現れた木札の因縁がここにようやく判明する。

 と、屏風のぞきをはじめ、妖たちがオールスターで大活躍。かっこいい禰々子さんも要所を締めてくれて、ほんわかとした読後感はなにより。
 来年が楽しみ。
 

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