「志賀越みち」
伊集院 静
単行本: 500ページ
出版社: 光文社
ISBN-10: 4334926878
ISBN-13: 978-4334926878
発売日: 2010/3/19
昭和38年の京都。東京の学生が大津から京都へ向かう、山中越えの山道から初めて見た京都。
祇園、白川、建仁寺。初夏の京都で出会ったのは美しい舞妓さん。
当然ふたりは恋におちる。だって恋愛小説なんだから。
祇園祭、大文字の送り火。舞台装置はばっちり揃っている。その中でふたりの恋の炎は燃え上がるのだが、舞妓としての立場、学生としての立場から、結ばれることは難しい。
だが、旦那のひいきにより、そろそろ芸妓になる襟替えがおこなわれるのだという。それは人身売買に等しい行為だとしか学生には理解できない。
秋が来て、舞妓さんたちの芸事始め、温習会、芸妓たちのライバル意識なども交えて、二進も三進もいかない恋はみのることになるのか。
そして新年、花背の雪の中で最後の別れの日が・・・。
伊集院さんといえば、和製POPSの一時期を形作った人としか理解していなかったし、夏目雅子さんのダンナということで羨む男どもも多かっただろう。あらためて書誌を見てみると著作も多いし、アマゾンなどでの、このご本のプレビューもすこぶる評価が高いのでびっくり。
ただ、お話が古臭いのは否めない。学生を主人公に持ってきたので、川端康成ふうの小説にまとまったのは評価できる。だが、主人公の一途さと正義感は昭和38年だからこそなのだ。今の学生たちがこの主人公ほど、真剣に生きているとはとても思えない。
気になったのは、地の文ならともかく、会話にまで「蹴上の××ホテルで」などと、×を使うところ。踊りのタイトルまで「×××」などと書かれてしまうと雰囲気が台無しになる。
それと「僕」という一人称での表現と、三人称で書かれる文章が、章で分かれるのでもなく混在するところ。あれれと思いながら読み返すこともしばしばあった。
と、本来批評はしない筈のブックレビューには珍しい、いちゃもんでした
コメント投稿にトライです。
返信削除今度はちゃんと載るかなぁ・・・。
m-familyです。おはようございます。
京都の風情はやはり憧れです。
一年前の夜に祇園花見小路で息子達と食事をしました。
その時初めて(今の)嫁に会いました。
お互い緊張しました。
芸舞妓の世界、「だんだん」を思い出します。
思えば長いこと京都へ出かけていません。
行ってみます。