2010年6月21日月曜日

「ロスト・シンボル」

「ロスト・シンボル」 (上・下)
ダン・ブラウン/著
越前 敏弥/訳
ハードカバー: 351ページ/356ページ
出版 社: 角川書店
ISBN-10: 4047916234/
             4047916289
発売日: 2010/3/3

映画でもおなじみの「ダ・ヴィンチ・コード」から始まる、ごぞんじロバート・ラングドンシリーズ第3弾。
ヴァチカンの反物質爆弾、パリの地下にひそむキリストの聖杯に続いて、今回の冒険の舞台は米国の首都ワシントンDC。前半は連邦議会議事堂をメーンに展開する。
犯人というか、事件を仕掛けるのはマラークと名乗る刺青の男。変幻自在の顔と体躯で相手の隙を付いてどこへでも侵入する。
標的にされたのはフリーメイソンの最高位を持つピーター・ソロモンとその妹のキャサリン。

フリーメイソンの内実が分かる、と興味本位で宣伝されたりしているが、その気になって読み始めると、はぐらかされることになる。たしかにフリーメイソンの今の活動の一部は本文中にも出てくるが、あくまで有識者の富裕層が国家体制を維持するため協力しているという、表面的なものでしかない。

だが、アメリカ建国にまつわるエピソード、その象徴としてのオベリスク、また神に変容していくワシントンなど、われわれ日本人には思いもよらない話を、さらりと提示してくれるカタルシスはやはりブラウンぶし。

冒険は議事堂から国立図書館、テンプル教会へと弾みを付け、その間にはキャサリンの危機もサスペンスを盛り上げる。ふたりが合流してからは読者はジェットコースターのようにただ流されていくしかない。
そしてその中で語られるのは神と政治と科学と人類の融合。

久方ぶりのダン・ブラウンを堪能。

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