2010年6月1日火曜日

「犬なら普通のこと」

「犬なら普通のこと」
矢作俊彦、司城志朗

単行本: 344ページ
出版社: 早川書房(ハヤカワ・ミステリワールド)
ISBN-10: 4152090766
ISBN-13: 978-4152090768
発売日: 2009/10/30

2010年版 ミステリーベストで、「このミス」5位、「文春」14位。
この差は何か。
と思いつつ読み始めたが、なんとなく視点がはぐらかされてスピー ド感が削がれるのが、その原因かも。
登場人物は、主役の殺人犯、ヤクザの「ヨシミ」。その相棒、チンピラの「彬」。このふたりが、組織を裏切って 金庫のカネ2億円を強奪しようと、沖縄の街を走り回る。
3人称で書かれる地の文がそれぞれの視点で揺れ動き、ヨシミの話なのか、彬だったのか、一 瞬迷うことがあり、その所為かリズムが狂う。

だが、話はめっぽう派手に展開。コルトガヴァメントに段ボール箱のサイレンサーをかぶせての、組の金庫への襲撃。そのアリバイ作りの手助けになるはずの彬との行き違い。オートバイでの輸送車襲撃。操るクルマは高級車。組織の幹部への攻撃に重装備の散弾銃。闇の武器商人に変身する老米兵の沖縄そば屋が面白い。敵に回るのか、味方になるのかわからない殺し屋や、彬を利用して復讐を果たそうという元 女スパイも現れて話は二転三転。2億の現ナマ強奪がいつか10億の覚醒剤をめぐる争奪戦になり、クライマックスを迎える。

むかし、「野生時代」という大判の雑誌が出来て、そこでお二人の新作を狂気して読んでいた。25年ぶりの矢作・司城コンビの作ということで、なつかしぶりの一作。

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