2010年12月4日土曜日

ネットの闇を悪用するやつは許さない。

「ロードサイド・クロス」
ジェフリー・ディーヴァー・著

池田 真紀子・訳

単行本: 512ページ
出版社: 文藝春秋
ISBN-10: 4163297200
ISBN-13: 978-4163297200
発売日: 2010/10/28

 2010年度・文春年間ベストで第2位。


路肩の十字架、という意味。
パトロールの警官がハイウエイで発見した、路傍に建てられた十字架。交通事故が発生した現場に飾られる、死者を弔うための十字架だが、なにかおかしい。未来の日付が記入されているのだ。誰かのいたずらなのか、それとも明日、誰かが死ぬのが分かっているのか。それとも、誰かを殺そうというのだろうか・・・

リンカーン・ライム・シリーズのゲストとして出演した、カリフォルニアの女性捜査員キャサリン・ダンスが独り立ちして活躍する長編2作目。前作「スリーピング・ドール」事件から数週間後という設定で、先の事件の余波がストーリーを盛り上げる。

女子高校生が自分の車のトランクに押し込められ、これから満潮になろうとする海岸に放置される。
彼女のパソコンのハードディスクから見つかったのは、有名なブログにあらわれた「ロードサイド・クロス」と名づけられたスレッド。そこではある交通事故にまつわる中傷と、それをやじる面白半分の書き込み。炎上するブログを見て、事件解決のためにヒントになると考え、コンピューターの教授に教えを請いながら捜査を進めるダンス捜査官。

二人目の被害者は同じくブログでいじめ発言をおこなった女子高生、今度は自宅で塩素ガスによる襲撃を受ける。
そして、半月前に発生した事件が尾を引き、ダンスの母が安楽死殺人の加害者として検察に拘留される。
続いて、ジョギング中の男性が拳銃で撃たれる事件が発生。ブログに関係した人物が狙われ始めたのか、そして、次の標的とされたのは、ブログの主宰者・・・

ブログの実態、ネットゲームのリアルさ、アメリカの政治運動、環境保護活動の実態。
ダンスが捜査に協力する大学教授にほのかにあこがれを抱いたり、同僚捜査官との愛の行方も気になる、続編必至の傑作。

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