2011年4月6日水曜日

読者の皆様、皆様の目は節穴ではございません。

おめでとう本屋大賞!
 


 「謎解きはディナーのあとで」
東川篤哉著

単行本: 256ページ
出版社: 小学館
言語 日本語
ISBN-10: 4-09-386280-6
発売日: 2010/9/2

 ことしの本屋大賞はこれかも、と盛り上がっている超話題作。2010年文春ベストではすでに10位にランクされている、ユーモア・ミステリの大傑作。
 ということで、図書館のリクエストも膨大な数字、いまだに3ケタを保持している。
ただし、ネットの書評ではかなりたたかれていた。軽い、薄い、短い、だとか。
 そんな批評もわからんでもないが、じじいはスキだね、こういうのは。
 軽く読めて面白ければ、それだけでも素晴らしい。小説に何か重たいものを求めているのなら、ほかの本を読めばよろしい。

 主人公は東京・国立署の女性刑事・宝生麗子。実は宝生グループという財閥の一人娘にして、運転手つきの7メートルのリムジンで送り迎えしてもらっているというお嬢様。
 刑事としての相棒はこれまた自動車会社の御曹司、の割には自分の愛車はジャガーだという風祭警部。
 そして、麗子お嬢様のワトソン役というより安楽椅子探偵の役目をつとめるのが、運転手兼執事の影山。彼の毒舌が事件を解決する。
という、とんでもない設定なので、これはこれでキャラで持たせる小説ということだろうか。

 短編集。6篇の作品が収録されている。
「殺人現場では靴をお脱ぎください」自分の部屋の中でブーツを履いたまま殺されていたのは・・・
『失礼ながらお嬢様。・・・お嬢様はアホでいらっしゃいますか』
  
「殺しのワインはいかがでしょう」動物病院の院長が死んだ。自殺か、毒殺か・・・
『失礼ながら、お嬢様の目は節穴でございますか』
 
「綺麗な薔薇には殺意がございます」広大なバラ園で殺された婚約者、なぜ薔薇の花の上に死体が・・・
『それでもお嬢様はプロの刑事でございますか』
 
「花嫁は密室の中でございます」密室状態の部屋で花嫁が刺された、同席していた影山が発した言葉は・・・
    『お嬢様、どうなさいました』    

「二股にはお気をつけください」プレイボーイの男が殺された。容疑者に浮かんだ4人の美女・・・
『しばらくの間、引っ込んでいてくださいますか』   

「死者からの伝言をどうぞ」消費者金融の女帝が撲殺された。犯人を示したダイイングメッセージが・・・
      『お許しください、お嬢様。・・・
チャンチャラおかしくて横っ腹が痛うございます』
 
 本格というジャンルの、くどすぎる謎解きに閉口してきた読者には超おすすめ。
 

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