2011年7月10日日曜日

新宿は眠らない、鮫は眠らない、だから歳をとらない、・・・のかな?


「絆回廊」 新宿鮫X
大沢在昌
単行本: 433ページ
出版社: 光文社
言語 日本語
ISBN-10: 4334927580
SBN-13: 978-4334927585
発売日: 2011/6/3

 
 新宿署の鮫島警部のもとに不吉な知らせが舞い込む。
 長期服役していて娑婆に復帰した男が、警官を殺す、と宣言していたというのだ。
 鮫島の捜査が始まる。だが、最初に事情聴取に赴いた、千葉で引退している元暴力団組長が殺され、中国系の組織の関係者を洗い出そうとしていた鮫島に暴力の手が伸びる。
 いやはや、新宿鮫である。
 20年に亘って書き継がれている、永遠の青年、鮫島警部なのだ。
 今回の事件そのものが先の「狼花」の何ヶ月後かになっており、鑑識の薮もようやく傷が癒えて出勤できるようになった頃合という設定。過去の事件の関係者の名前もあれこれ現れるが、そうだったそうだったと思い出すが、記憶のかなたに消えて久しいものもある。なんせ20年だ。
 出所した男を待ちわびていたバーのママの独白も挟まれ、立体的に謎の構造が明らかになってくる。22年前の事件、その関係者らしい中国人の青年。
 中国系の暴力集団、日本のやくざ組織。その狭間を鮫島の推理と実行力がつないでいく。
 そこに晶ちゃんのロックバンドのドラッグ疑惑というピンチもあり、鮫島も厳しい立場にさらされる。

 鮫島自身は変わらない。
 いや、すべての登場人物は自分なりのけじめの中で生きている。
 それが行き違う、交差する。そこで起こる事件。

 鮫島健在。
 次を期待。・・・していいのね?
 

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