2011年7月21日木曜日

泣ける直木賞。うるうる。


「下町ロケット」
池井戸

単行本: 416ページ
出版社: 小学館 (2010/11/24)
言語 日本語
ISBN-10: 4093862923
ISBN-13: 978-4093862929
発売日: 2010/11/24

 祝・直木賞受賞。
 昨年末に出た本で、評判だったとはいえ図書館でもすぐに回ってきたが、今回の受賞で急に人気が出て、図書館の予約リクエストも65件に跳ね上がっている。

 主人公・佃航平はロケット打ち上げ実験の失敗から研究者の道をあきらめ、東京の下町で町工場を継ぐことになる。200人ばかりの従業員を従える「佃工業所」という中小企業の社長業だが、現代の職人かたぎはロケットビジネスに食い込んで行けるのか、がテーマとなる。

 まず、特許侵害で訴えられる。
 そこで出会った弁護士が起死回生の策を打ち出し、会社そのものの存続は目処がたった。

 次に特許を買い取りたいという大企業が現れる。ロケットバブルの開発にかかる費用・時間を思えば特許買取が最短、最善の選択なのだ。
 佃にとっても、特許を売ってしまえば佃工業所にも大きな利益だ。
 しかし佃は、「部品を我が社で作り出、それをロケットに使ってほしい」と答える。

 さあ、社員の反発が来る。会社を私物化している。夢を追う社長は社員の夢を潰すのか、などの反感が出てくる。このあたり、本当によくできており、実際、どちらの立場にも共感できる筆致が読者を納得させる。
 大企業の方でも、そうまでいうなら、きっちり審査して使い物になる部品を作ることが出来るのか確認しようとしてくる。そして佃工業所を見学して、その製品の優秀さと品質管理に驚かされ、これなら任せても大丈夫という確信を持ち帰るが、社内にはそれをぶち壊そうとする反対勢力が・・・。

 改めて正式な審査に出向いて来た大企業の、横柄な態度に反感を持った佃製作所の社員たちは、佃品質、佃プライドを打ち出し、社長に協力していくことを誓う。しかし、佃製作所の内部にもまだ反対勢力が根強く残っており・・・。
 
 製品テスト、それに対する大企業からの横槍、佃プライドをもって立ち向かう社員たち。
 いってしまえば、ただの物語だが、感動的だ。いい人ばかりだし、悪意をもって近づく人たちもそれなりの理由をもっているわけ。だが、その人なりの守るべきものを持っている。

 来月からWOWOWでドラマ化される。こちらも楽しみだが、なんか男ばかりのドラマになりそう。ところが寺島しのぶさんがアップされているので、確認してみると、なんと弁護士の役らしい。原作では神谷修一という男性なんですがね。配役としては神谷涼子弁護士になっている。

 ドラマも原作も泣ける話になっていることでしょう。


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