「悪道 西国謀反」
森村誠一
単行本: 306ページ
出版社: 講談社
言語 日本語
ISBN-10: 4062172828
ISBN-13: 978-4062172820
発売日: 2011/10/14
吉川英治文学賞受賞『悪道』シリーズ新作!
犬公方・綱吉の悪政を糺すべく登場した、稀代の名君・影将軍を襲う新たな危機。西の押え、中国地方の大藩・浅尾家に渦巻く暗雲。歴代当主の相次ぐ不審死。戦国忍者の末裔・流英次郎に密命下る。
爽快時代小説。闘いの舞台は、奥州路から中国筋に!
当代の宗義も風前の灯
側室と通じ、柳沢吉保と手を組み、お家乗っ取りを図る君側の奸・外村監物。最強、残忍な暗殺忍軍・風炎衆と流軍団の死闘。英次郎一統は浅尾藩を救い、影将軍を守り通せるか。
一気に読める、エンターテインメント時代小説の最高峰
さて、影将軍の密命のもと、幕府隠密として英次郎たちが活躍する第2弾。
今回の舞台は中国地方の雄藩・浅尾家という架空の藩。今の広島県あたりを支配している巨大な藩だ。おまけに前巻で討ち入り騒ぎがあった浅野家とも関係が深いという因縁もある。
その国家老・外村監物、これが悪人。
浅尾家では3代にわたって国主が急死している。当代の宗義もなにやら病気がちだったが、それを英次郎とともに西国に赴いた医者のおそでが治療したことから、チームの存在感を高めることになる。
監物はおのれが側妻に生ませた虎之助を国主の座にあげるべく画策しているのだが、その虎之助もおたふく風邪にかかってあぶないところをおそでに救ってもらう。
監物の野望は将軍暗殺という暴挙にもあらわれる。忍者軍団・風炎衆を駆使して江戸城への攻撃を仕掛けるが、いちはやく気付いた英次郎は単身、江戸へ立ち戻りその暴挙を押しとどめることに成功。
やがて監物は、いまの将軍・綱吉が以前の綱吉とは少し異なっていることに不審を抱く。そこで手をつなごうとするのは柳沢吉保だ。
吉保と手を組めば、国主の座と将軍抹殺の一石二鳥だ。
さりげなく影の存在を示唆した監物に、吉保も保証としての手紙を預ける。
そして、吉保が送り出したのは、紀文・紀伊国屋文左衛門だった。そして、紀文が子飼いにしている喜和と呼ばれる謎の美女。
その魔の手は性懲りもなく、宗義に伸びて来る。
あの手この手で繰り出される風炎衆たちの攻撃をかわし、宗義を守り抜く隠密たち。
波瀾万丈、奇想天外な忍法も登場、時代劇エンタメはこうだろう、という作者の意気込みが結実した一篇。ラスト、江戸へ向かう英次郎たちのあとをつけて来る謎の影。
さあ、次の悪道はどこだ。
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