「スクウェア2」
福田和代
単行本: 255ページ
出版社: 東京創元社
言語 日本語
ISBN-10: 4488024920
ISBN-13: 978-4488024925
発売日: 2012/2/28
バー「スクウェア」を中心に事態は動き、男たちが描いたシナリオは佳境へ…。大阪を舞台に麻薬絡みの事件を背景とした男たちの鮮烈な物語。『ミステリーズ!』掲載に書き下ろしを加えて書籍化。
さきの「スクウェア1」に続く第2作。同時に発売されていたもので、セットで読むのが正解。
今回は、関空で薬物中毒で急死した男に始まり、いよいよ関西の暴力団との対決が迫る。
<マザー>
関空で、体内に飲み込んだヘロインの袋が破れて急性薬物中毒で急死した男性が発見される。男は経営していた会社が倒産、それなのにこの半年で3度もマレーシアへ旅行していた。
背後に暴力団・光洋会の影を感じ取った三田は、同僚の中本とともに捜査を始める。
男の妻の長山市子の財布から覚せい剤の痕跡が発見され、その毛髪からも覚せい剤の痕跡が出て来た。
タイトルは母としての長山市子の立場を象徴する。中学生の長男が手首を切って自殺を図る。そのとき、市子は・・・
<サーチ>
リュウの店「スクウェア」が放火される。幸い玄関先を焼いただけだったが、こんな路地の奥にある店を選んで放火するというのは何かの意趣があるとしか思えない。
だが、三田はリュウとの関係を署内に知られては困るということから積極的な捜査には入れない。
リュウも行方をくらましたままだ。これは仕組まれた事件ではないのか。三田は腑に落ちないものを感じる。
そしてこの章のなかでリュウの本名が明かされる。
前章のヘロインがらみで、関西のやくざ組織の幹部たちの暗躍が浮かび上がる。リュウはそこで何をしようとしているのか。三田はどういう立場を取ればいいのか・・・
<赤ちゃんに乾杯?>
オカマのホステス・なぎさが、迷子だという赤ん坊を連れてスクウェアにやって来た。さっそくゲイバーのオカマたちが、よってたかっておもちゃにする。
おもちゃにされるのは当の赤ん坊ばかりでなく、折り悪しく店に居合わせた宇多島もだ。からかい半分にふざけはじめたオカマたちから逃れるため、リュウは・・・
三田が登場するのはラスト・シーンだけというユーモア編。
<ブラッディ・ハート>
またもや関空で麻薬が発見される。ハート型のお菓子に混ぜ込まれたヘロインを麻薬犬が発見したのだ。マスコミは、はやばやとその品物に名前をつけた。「ブラッディ・ハート」。
だが、輸入されたお菓子の配送先は、やくざとはなんの関係もなさそうな工業会社。
会社の内部を捜査していくと、従業員が入れ替わり立ち替わり、覚せい剤撲滅運動のメンバーと入れ替わっていることが分かる。何故?
<デッドエンドストリート>
光洋会の若衆頭が逮捕され、一審判決が出た。さきの事件でリュウたちが逮捕のきっかけをつくったのだが、その若衆頭は「俺の仇をとれ」といっていたらしい。
そして神崎川でサカナの死骸が大量に発見される。覚せい剤の成分であるメタンフェタミンが死因だった。誰かが、ヘロインを川に流し込んだのか。
その現場近くには光洋会の幹部の家がある。
そして宇多島の経営するスポーツ店には嫌がらせが続き・・・
光洋会は解散、だが、関西の暴力団はまだまだ健在だ。
今後、三田やリュウ、宇多島たちはどうなっていくのか。
帰ってきたアリサは・・・
と、期待をもたせる終わり方。現在、連載はされていないようだが、続きはあるのかな?
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