2012年11月8日木曜日

コレキヨの恋文が日本を救う

「コレキヨの恋文」
新米女性首相が高橋是清に国民経済を学んだら
三橋 貴明

単行本: 315ページ
出版社: 小学館
言語 日本語
ISBN-10: 4093863261
ISBN-13: 978-4093863261
発売日: 2012/3/28


【笑って泣いて経済もわかる傑作小説誕生! 】
混迷の日本。現在と驚くほど似ていた時代があった。リーマンショック、ユーロ危機VSウォール街大暴落。デフレ円高不況VS昭和大恐慌。東日本大震災VS関東大震災。そして頻繁に失脚する総理大臣…そんな昭和初期に7度の大蔵大臣と首相として日本を世界恐慌から脱出させたのが、希代の財政家・高橋是清だった。
不況が続く201X年、大混乱を経て初々しい女性宰相が誕生した。官邸での就任パーティ。増税・緊縮財政路線の財務省と成長路線の補佐官との板挟みに疲れた霧島さくら子首相は官邸の庭に出ると桜の下で髭を蓄えた和装の老人に会う。二人はお互いを知らぬまま政治、経済状況を語り合うのだが、不思議と平仄が合う。さくら子は老人の確信に満ちた話に感銘を受け、それをヒントに、財務省の筋書きとは違う大胆な経済成長策を打ち出す。果たしてそれが奏功し、日本はデフレ不況から脱することができるのか。
何度かの邂逅で、さくら子は、老人はもしや高橋是清翁では、と思い始める。ということは…老人は2月26日に大変な不幸に巻き込まれてしまうではないか!どうする、さくら子!
 笑って泣いて、日本と世界の経済の仕組みがストンとわかる傑作小説誕生!
【編集担当からのおすすめ情報】
高橋是清の時代って、まるで現在の日本と同じ状況だったんですね。そして、本を読み進むと、どうすれば日本の景気が良くなるかがわかるのだから、本当に面白くてお得です。それと登場人物が誰をモデルにしているのか、当てるのがけっこう楽しいですよ。
いま人気の画家・鈴木康士氏のカバー・イラストもお楽しみ下さい。
4月20日に書いています。18日、三橋氏、さかき漣氏、イラストの鈴木康士氏とでささやかな増刷お祝いをいたしました。三橋氏が鈴木氏に会うのは初めてでした。
お陰様で好調を維持しています。アマゾンでは38件のブックレビューが出ており、三橋氏によると、彼のこれまでの本で最多と。「感動した」「思わず泣いてしまった」「三橋氏のこれまでの本で最高傑作!」との声が多く、まぁこれは編集者冥利でしょうか。
この本がなぜこれほど読者の感動を呼ぶのか、私なりの1つの答えは、本の中で高橋是清が語るセリフのポイントの部分が、実は本当に彼が書き残したものだということです。例えば、国民経済とは何かをさくら子に語ったところとか、最後の手紙の部分とか。実際の“恋文”はもちろんさくら子や今の国民に宛てて書いた物ではありませんが、それ以外の部分は本当に是清が書いた物なのです。そのリアリティが涙を誘うのでは。それがわかって、読み直してみるのもまた一興ではないでしょうか。かく言う小生も、もう三度くらい泣いています。

 というわけで、紹介文がすべてを語っている。
 霧島さくら子、日本国総理大臣。
 就任パーティーの夜、総理官邸に咲き誇る桜の下でひとりの老人と出会う。
 はて、きょうのパーティーの招待客にこんな人はいたのかしら、と思うのだが、向こうは向こうで、今や日本中の人気者である霧島総理を知らないようで、女性記者かなにかだと思っているらしい。
 そして、気負って日本の現状や、総理としての自分の思惑などを語り続けるうちに、日本をデフレから救うことができるかもしれない方策のヒントを得る。
 
 デフレのときの国の財政のあり方。そもそも国民経済とはなにか。税金とは何か。国民個人の貯蓄はなぜ国力を奪うのか。
 第一章はさくら子の立場と是清の立場相互の視点で描かれる。
 さくら子の時代は、長い不況と何度も変わる総理大臣、混迷内閣の連続による国民の不満が爆発。ようやく行われた総選挙では民主党が敗北し、自民政権の復活。だが、起死回生の手法はだれにもわからない。
 一方、是清は大正バブルの崩壊、関東大震災、昭和金融恐慌を経験し、さくら子と出会う前の年には5・15事件が勃発している。この時代も何度も総理大臣が入れ替わっている。
 
 なにげない出会いが、さくら子を総理としての役目に目覚めさせる。
 どこをどう通ってふたりが出会ったのか、それは解明されない。
 だが、その老人は高橋是清ではないか、とさくら子は思い当たる。
 
 調べてみると昭和の初めと今の平成の時代はそっくりなのだった。是清は大蔵大臣を何度も務めた経験から、さくら子の提案を評価し、また自分の思いのたけを語る。 

 満開の桜の下での出会いが3年続き、さくら子の政治手腕が日本経済を明るくしていく。
 だが、次に会うことは出来ない、とさくら子は思い当たる。来年の桜が咲くひと月前に是清は暗殺されてしまうのだ。
 さくら子は自分が未来の人間だということを是清に信じてもらうために、最後の出会いだと思われる、是清の時代、昭和10年の歴史的事実をこと細かく是清に説明する。

 そして、歴史の大きな波は日本を軍事国家に変貌させていく。
 次の年、是清が暗殺される前夜に書いたと思われる遺書が発見される。それは総理大臣としてのさくら子にあてた手紙であり、未来の日本人にあてた是清の恋文だった。

 著者の三橋氏は異端の経済学者として売れっ子だが、本質はサラリーマンあがりのTV評論家だと、ネットでは悪評ふんぷん。ケインズと是清が好きだということが、この著作でも良く分かる。果たして日本の経済は誰が救ってくれるのだろうか。
 霧島さくら子待望論が出ないのは、国民が政治に期待するものがないからだろうか。

 

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