2012年11月4日日曜日

ザ・ストレインがもたらす災厄は

「ザ・ストレイン」
ギレルモ・デル・トロ(著)
チャック・ホーガン(著)
大森望(訳)

単行本(ソフトカバー): 574ページ
出版社: 早川書房
言語 日本語
ISBN-10: 4152090669
ISBN-13: 978-4152090669
発売日: 2009/9/10


2010年9月、ニューヨーク・JFK国際空港で旅客機が着陸直後に外部との無線連絡を絶ち、照明を消し、すべての電気系統を落として誘導路上で沈黙した。人質事件の懸念から突入したレスキュー隊が発見したのは、二百名近くの乗客が席に着いたまま静かに息絶えている姿だった…。バイオテロの可能性から、当局はCDC(疾病対策センター)の特別班を召集する。チームを率いる疫学者イーフリアムは最愛の息子と過ごす貴重な週末をきりあげて空港に急行し、機内のバイオハザード調査に入るのだった。事件の原因究明にあたるイーフはやがて、この悪疫がいくつもの家族と社会秩序を引き裂き、猛烈な勢いで蔓延していくさまを目の当たりにする。それは同時に、太古の昔から地球に生きる、ある忌まわしい種族の復権を意味していた―アカデミー賞映画監督ギレルモ・デル・トロが長年あたためてきたアイディアを惜しまずそそいで贈る極上のスリル。全米ベストセラー・リストランクイン、世界21カ国で翻訳決定の傑作ノンストップ・パンデミック・スリラー。

 2009年の発刊。舞台はその1年後の2010年。ニューヨークのJFK国際空港。
 今回、本編とその続編が文庫で刊行されることになり、急遽、読んでおかねば、となった次第。

 航空機が着陸したが、その乗客が全員死亡していた、というのは「フリンジ」なんかでもあったプロローグ。
 だが、そこには4人の生存者がいた。乗客はなぜ死んだのか。4人はなぜ生き残ったのか。
 まず、なんらかの疫病が疑われる。機長をはじめ、乗客乗員の全員は、機が到着する寸前まで生きていたのだ。
 
 機内を調べたCDC(疾病対策センター)のイーフリアム(イーフ)は貨物室に奇妙な巨大棺を発見する。だが、その直後、何者かによってその棺は運び出されてしまう。
 遺体を検視してみると、遺体には血液がなくなり、体組織が白い脂肪みたいになっている。体内からなにやらうごめく虫みたいなものが出てくる。

 その翌朝、皆既日食が起こる。

 だから、文庫になったこの作品は「沈黙のエクリプス」というタイトルに改題されている。
 その日食のさなか、うごめくものがいた。

 最初はパンデミックスリラーで始まる。細菌がばらまかれたのか。機内には血液ではない謎の液体がぶちまけられている。
 日食の夜、死者たちはすべて、いずこへか姿を消す。解剖された遺体もなくなってしまう。
 そして、4人の生存者たちにも奇妙な兆候が・・・
 
 ストーリーの合間に、間奏曲として、ナチスの収容所から脱走するエイブラハム・セトラキアンの逃亡劇が描かれる。収容所というより、そこは太古からの支配者が跋扈する暗黒地帯だ。
 
 セトラキアンはやがてイーフを探し出し、太古の種族を撲滅するべく協力を求めるのだった。
 
 バイオハザードをはじめ、ゾンビ集団との戦いはもはや陳腐なイメージになってしまった。
 いまさら、という感もあるが、ここに古代から人類を捕食していた存在をもってきて、なおかつ、永遠の命を求める大富豪が暗躍するニューヨークを舞台にして、映画化が間違いない大アクションが展開される。
 さて、続刊が楽しみだ、といちおうは期待を残しておこう。
 

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