2013年11月10日日曜日

ゴーン・ガールが、ごつーんと来る

「ゴーン・ガール」(上・下)
ギリアン・フリン著
中谷友紀子訳

  • 文庫: 413ページ、381ページ
  • 出版社: 小学館
  • 言語 日本語, 日本語
  • ISBN-10: 4094087923、409408830X
  • ISBN-13: 978-4094087925、978-4094088304
  • 発売日: 2013/6/6

NYタイムズベストセラー第1位のミステリ
ニックは34歳、ニューヨークで雑誌のライターをしていたが、電子書籍の隆盛で仕事を失い、2年前に妻エイミーとともに故郷ミズーリ州の田舎町に帰ってきた。しかし、両親ともに高名な童話作家で、その人気児童文学シリーズのモデルでもあったニューヨーク育ちのエイミーにとって、この田舎町での生活は決して満足するものではなかった。
そんななか、結婚5周年の記念日にエイミーが突如謎の失踪を遂げる。家には争った形跡があり、確かなアリバイのないニックに容疑がかけられる。次々とニックに不利な事実が浮上するなか、彼はみずから妻探しを始めるが、その一方で何かを隠すかのように嘘を重ねるのだった……。
ニックの語る結婚生活と、交互に挿入されるエイミーの日記。夫婦双方の言い分からなるふたつの物語が重なるとき――。大胆な仕掛けと息苦しいほどの緻密さで描写される夫婦のリアルな愛憎劇、やがて浮かび上がる衝撃の真実とは――。

 ニックの一人称の語りと、エイミーの日記とが交互にあらわれる。

 結婚5周年の記念日、妻のエイミーが失踪する。謎の置き手紙を残して。
 置き手紙には、わたしを探して、というメッセージが暗示され、そのヒントが隠されている。
 ニックはそのヒントに従ってエイミーの行方を探す・・・フリをしているのか?

 ニックの双子の妹、マーゴ。ニックと二人でバーを経営する。
 ニックの父ベンはアルツハイマー、ニックの妻のエイミーのこともわからない状態。
 ニックの母モーリーンはベンを介護しながら、息子夫婦を憂いている。

 エイミーの父母はエイミーをモデルにした児童小説で一世を風靡したが、いまは落ち目。
エイミーの信託財産までも取り戻して、借金の返済にあてている。
 
 ニックは短大でジャーナリズム論の講師をしていて、その教え子のアンディと不倫関係にあった。それも妹の知るところとなってしまう。

 刑事たちはエイミーが失踪したというニックの証言を疑い始める。
 ふたりが言い争ったというが、部屋は片付いていた。 
 部屋が荒らされていないのに、台所にルミノール反応がある。
 上空をジェット機が飛んだだけで、室内の植物の葉っぱが舞い散るのに、部屋には花びらひとつ落ちていなかった。
 ニックのクレジットカードの請求額が21万2千ドルに達していてその払いが滞っている。
 パソコンで、ミシシッピ川を検索した記録が残っていた。「人体 流れ ミシシッピ川」これはどういうこと?
 
 友人たちがエイミーの捜査に協力しようと、探す会を催す。
 挨拶に立ったニックの前に現れたエイミーの友達は、「ニックがエイミーを殺したのよ、エイミーは妊娠していた」と叫ぶ。

 ニックはニューヨークへ飛び、テレビで有名な弁護士タナー・ボルトに面会する。
 タナーはただちに愛人と手を切れ、身重の妻が失踪しているのに不倫はまずい、尋問の予行演習をしようと約束した。

 家に帰ったニックはエイミーのヒントで思い浮かんだ、妹の家の裏にある薪小屋に向かうが、そこを開けると・・・嘘だ嘘だ嘘だ。
(以上上巻)

 下巻になると、冒頭から驚かされる。
 エイミーの手記から始まるのだ。
 そこでエイミーは、ニックを陥れるために、自分が仕掛けた罠の数々を暴露している。

 だが、エイミーの逃亡は永くは続かない。持ち金を失い、彼女が頼ったのは、ニックと結婚する前に付き合っていた男だった。エイミーは、その男は暴力的なサディストだとして日記に書き込んでいた。

 ニックは有力弁護士や女性ディレクターなどとつるんで、無実を証明しようとあせっている。警察や、愛人として名乗りを上げた教え子のアンディ―も、ニックにとって強敵だった。

 やがてエイミーは自分が仕掛けた罠の仕上げにかかる。
 それは、恐ろしいたくらみだったが、エイミーにはその仕上げには自信があった。

 いやはや、嫌ミスという言葉があるが、それはこういうミステリーのことを指すのだと、実感。
 でも、決して嫌いではない。

 男も女も自業自得だ、と思ってしまう。それが面白いと思うなら、嫌ミスもなかなか捨てたものではない。

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