2011年1月8日土曜日

スペンサーよ永遠なれ。

「盗まれた貴婦人」
ロバート・B・パーカー(著) 
加賀山 卓朗(訳)


単行本: 302ページ
出版社: 早川書房
ISBN-10: 4152091738
ISBN-13: 978-4152091734
発売日: 2010/11/12

 
 ボストンの私立探偵スペンサーシリーズ最新刊。
 ご存知のように作者パーカー氏は昨年1月に死去、翻訳はあと一作を残しているそうだが、ラス前の作品。そして、ミステリー、アクションともに秀逸な傑作となっている。


 スペンサーのもとに依頼が届く。盗まれた絵画の身代金を払いに行くからガードしてほしい。
 その絵が「貴婦人と小鳥」というもの。タイトルの貴婦人というのは盗まれたその絵のことだね。「と」は、アンドではなく、ウィッズでつなぐそうだが。
 だが、交渉は失敗する。身代金を払って絵画を取り戻したものの、交渉にあたった教授と、返してもらったはずの絵画がその場で爆破されてしまうのだ。 
 そこからは疾風怒濤、息もつかせぬ展開となる。
 自分の役割を邪魔されたと怒るスペンサーは、自ら犯人探しに乗り出す。
 まず、交渉役に当たった教授自身の人となり。なにやら女子大生を手玉にとるような男だったらしい。
 教授のアタックに無関心だった女子大生の一人が、意味ありげにスペンサーを避けようとする。
 その女子大生の母親は検事局の女性検事だった。
 教授の過去をさぐっていくと、ユダヤ人迫害の歴史、そしてユダヤ人を救済するという謎の財団などが表面化してくる。
 内部を探るスペンサーに魔の手が迫る。何者かの銃撃、その後にはベッドにしかけられた爆弾。


 ストーリーといい、アクションといい、申し分なく運ぶので、通勤読者のじじいでも会社の行き帰りの3日間で読了。
 いつもどおりのスーザンとの会話をはじめ、ウィットに富んだせりふまわしは楽しい限り。
 この楽しさがあと一冊限りという悲しさを含めて、年頭に読むことが出来た幸せを大事にしたい。
 

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