2013年6月17日月曜日

彷徨い人は人と人との関係を彷徨っている

「彷徨い人」
天野 節子


単行本: 354ページ
出版社: 幻冬舎
ISBN-10: 4344022408
ISBN-13: 978-4344022409
発売日: 2012/9/26


ベストセラー『氷の華』『目線』の著者が描く、慟哭のミステリー
高級住宅地で起きたひき逃げ事件、そして旅行先で起きた失踪事件。全く別の場所と時間で起きた2つの事件のつながりが、二人の刑事によって明かされる。 なぜ、母親想いの人間が、人を殺めたのか――。その犯罪の裏に隠された悲痛な犯人の動機とは?
内容(「BOOK」データベースより)
石神井台警察署の清水刑事は、ある警察署の受付で見覚えのある女性と出会う。彼女は、清水が担当したひき逃げ事件の被害者遺族だった。親友が行方不明のため、捜索願を提出しに来たという。「不倫の果ての失踪に違いない」と担当刑事は言うが、清水は強い違和感を覚える。そして、ひとり捜査を始めるが…。大切な人を守りたい―そう願う男がいた。人生をやり直したい―そう悔む女がいた。二人が出会った時、運命の歯車が狂い始めた。


 紹介文を読み直すと、少し違うな、という印象を持つ。


 始まりは折原宗太。やりての営業マンだが、母が認知症で入院している。その施設に週2回通っていることから、看護師などから孝行息子だと思われている。だが、そのせいで営業成績にも影響が出て、近々左遷されそうな雰囲気。
 宗太の妻・淳子は、義母の入所以前から夫婦仲は冷えている。娘の優花とともに、淳子は一度も施設に行ったことがない。


 淳子の妹の夫・片岡亮平が、妻の葉子と連絡が取れないと電話して来る。
 同郷の中学校時代の同級生たち4人で日光に旅行に行った後、葉子が帰って来ないというのだ。


 旅行メンバーのひとり、田嶋千里は半年前に夫をひき逃げで亡くしていた。警察の捜査も半年たてば本腰をいれなくなってきている。
 ほかに、葉子が勤める歯科医の患者でカルチャースクールでも同窓の日野美香子が、一緒に行けなくなったメンバーに代わって旅行に加わっていた。美香子は建築士でありインテリアデザイナー、現場監督も兼ねる、バリバリのキャリアウーマン。
 美香子が知人の警視庁鑑識課員とともに葉子失踪の謎を追う。
 
 というわけで、アマゾンの紹介ではいかにもメロドラマふうの紹介になってしまって、人間関係のどろどろがメーンになってしまう。


 認知症の母を世話するマザコン夫。結論づけてしまえばそれまでだが、そこに至るまでの悲しみも理解してやりたい。
 かたや、冗談好きな鑑識課員と年上キャリアウーマンの活躍。ここらはドラマ化では主演になるだろうから、キャストも楽しみ。意外な人が演じてくれたら。


 失踪した人妻。
 半年もたってから、事件として浮かび上がってきたひき逃げ事件の真相。
 いろは歌の謎と日光みやげの三猿のストラップが意味するもの。


 謎が謎を呼び、悲しい出会いと運命が交錯する。たしかに2時間ドラマでも見てみたい。
 

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