2013年7月19日金曜日

復活するはわれにあり、じじいは復活の宛なくて

「復活するはわれにあり」
山田正紀


単行本: 348ページ
出版社: 双葉社
ISBN-10: 457523818X
ISBN-13: 978-4575238181
発売日: 2013/4/17


余命を宣告された、車椅子のワンマン経営者・権藤。
ジエイゾと名乗る者に拉致され、男が所有する大型船「南シナ海号」に乗船することになった。
船はハイジャックされ、権藤は人質となってしまう。
犯人の背後に蠢く得体の知れない陰謀を感じつつ、超ハイテク車椅子(サイボイド)と共に果敢に立ち向かう。
海上を舞台とした、著者久々の冒険小説!


 なつかしの山田正紀。最近は時代小説にも進出して、少し敬遠気味なところもあったけど、いやいやデビュー当時からのファンとしては、今作は、はずせない。
 なにせ、冒険小説の復活を試みた長編。
 主人公はハイテク車椅子。セットされたスマホが、乗るひとの希望まで読み取って、操縦以前の指令に従って動いてくれる。
 その車椅子に乗るのは権藤。40代半ばと紹介される。だが、下半身まひにくわえ、最近は左手まで動かなくなってきている。


 秘書の清水とともに、会社のカネを使い込んだ稲原を追いかけてベトナムまでやって来た権藤。だが、エレベーターで突然、誘拐、拉致されてしまう。
 そこにジェイコブという男が現れる。
 ジェイコブは「南シナ海号」という船に乗って、海底油田基地に行ってくれという。油田がテロリストたちに狙われているというのだ。油田が破壊されれば、近隣の美しい海が悲惨なことになる。というのだが、何やらほかにも思惑があるらしい。
 その代償としてハイテク車椅子「サイボイド」が提供される。
 断ることもできず、それこそ、乗りかかった船に乗り込む。


 台風がせまる南シナ海を、ジェイコブが連れてきた稲原と、秘書の清水とともに油田へ向かう。
 だが、その船がハイジャックされる。


 という盛り沢山な内容で始まるのだが、ベトナム人美女やその娘など、ハードボイルドな小道具もたっぷり。
 ハイテク車椅子をはじめ、上空からは無人偵察機が見張っている。その偵察画像までハッキング出来てしまうという技術力。
 ただ、豪勢に盛り付けたけれど、少し消化不良ななりゆきになってしまったところも。
 ま、そこはそこ、久方ぶりの山田冒険小説を楽しもう。

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