「一刀流無想剣 斬」
月村 了衛
単行本(ソフトカバー): 258ページ
出版社: 講談社
言語 日本語
ISBN-10: 4062180014
ISBN-13: 978-4062180016
発売日: 2012/10/30
凄絶! エンターテインメント時代小説。
戦国末期下野国、謀反により命を狙われた姫と幼き小姓を守るため、一人の男が一国を相手に血刀を振るう。男の名は神子上典膳(みこがみ・てんぜん)。伊藤一刀斎より印可を受け、後に小野忠明と改名、柳生新陰流と並び徳川将軍家剣術指南役となったその人である。
山中の逃避行、多勢による包囲網、他国の裏切り、刑場での罠……。
一刀即万刀、万刀即一刀、一に始まり一に帰す。
切れ目なく訪れる絶体絶命の危機に、一刀流奥義“無想剣”がうなりをあげる。
「機龍警察」シリーズとは別に、こんな時代劇も書いている。
出てくる男は強い。頭も切れる。罠には罠で対応する。
悪人も多い。ずっこい奴もいる。裏切り者はどこにでも出てくる。ここにも・・・
だが、それぞれに分けありだ。
戦国末期、下野の国、藤篠家で謀反が起こる。
難をのがれた澪姫と小姓の前に、黒い長羽織の男が現れる。何者とも知れぬその男は追手を始末し、二人の逃亡の手助けをする。山を越え、崖を登り、川をわたる。姫もやんちゃぶりを発揮して元家臣の裏切り者たちをやっつける。
男は自分から名乗らないが、彼の技を見た侍たちは、伊藤一刀斎の弟子である神子上典膳に違いないと噂する。伊藤一刀斎の二人の弟子のうち、ただ一人一刀流の印可を受けた剣豪なのだ。
たしかに強い。
だが、よくやられる。
相打ちではない。相手は倒すのだが、そのとき自分も手傷を負う。手傷が癒えるまで味方に保護されることもしばしば。
それでも、姫と小姓を守り抜く。姫を奪われれば、傷をおしてでも取り戻しに行く。
実は、その絶体絶命の危機のなかに「無想剣」の奥義があった。
そしてまた、ふたりの兄弟武士を相手にしての立ち回り。強敵のふたりに対しての捨て身の技こそ「無想剣」の真髄でもある。
そして明かされる長羽織の男の正体。江戸時代の幕開けに確かにいた謎の剣豪の姿は、姫と小姓の覚悟とともに春霞の彼方へと消えていく。
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