2012年1月17日火曜日

待ち伏せ街道を抜ければ、そこにある謎は


「待ち伏せ街道」―蓬莱屋帳外控―
志水辰夫

単行本: 318ページ
出版社: 新潮社
ISBN-10: 4103986077
ISBN-13: 978-4103986072
発売日: 2011/09/20



この女、一体何者なんだ――。磔も覚悟の道中に、疑念が湧いては消える……。
さる藩の江戸留守居役の奥方を西国へ逃がしてほしい――ご法度を承知で危険極まる注文を引受けた仙造。しかし、待ち受ける伏兵をかわしながら隘路を進むうち、女はしだいに本性を現わし始めた……。遥かな旅程を単独で歩き通す「通し飛脚」ならではの膂力と覚悟。山塊の向うに活路はあるのか!? 好評シリーズ第三弾!

「なまくら道中」
 蓬莱屋の鶴吉。まだ小僧扱いの奉公人・長八とともに、ふたつの重い荷物を江戸から信州善光寺まで運ぶことになる。仏像とその台座だというのだが、なにかあやしい。出立前夜にも同じような荷物が、依頼されたお寺から運び出されたのを長八が目撃していたのだ。そして待ち伏せていた男たちがいる。その仏像を横取りしようというのだ。江戸から中山道をたどり、浅間山を迂回して、という旅路が楽しい。だが、鶴吉と長八にとっては命がけの道中だ。善光寺を目前にした須坂の宿で燃え上がる結末とは・・・

「峠ななたび」
 吟二郎は蓬莱屋の用心棒として雇われていたが、今は町道場の剣術指南のほうが中心になっている。ある日、大名飛脚として書状の受け取りに赴いた兵庫で事件に出くわす。お家の大事なものを持ち出した女中を追跡している勘七という武士と道中を共にすることに。だが、琵琶湖の北、栃ノ木峠で雪に降りこめられ、すべてのつながりが明らかになったとき・・・

「山抜けおんな道」
 おなじみの仙造が託されたのは、さる西国大名の江戸留守居役が亡くなり、その奥方を上方まで送り届けるという役目。喜多八という用心棒とともに江戸から中山道をくだる。京都まで行って淀川くだりの舟に乗せればよいのだが、なにかおかしいぞ、この女。


に続く三作目。訳ありの荷物をはこぶ飛脚たちの活躍を描く蓬莱屋シリーズ。
 書名に「まちぶせ街道」とあるとおり、それぞれの作品には待ち伏せしている相手がいる。それが分かっていながら、待ち伏せの渦中に身を投じないわけにいかないところが、シミタツ節。
 その待ち伏せをかわして、謎が解明されたとき現れる真実がミステリー。
 

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