2012年6月19日火曜日

フランクを始末するにはまだまだ修行が・・・

「フランクを始末するには」
アントニー・マン (著)
玉木 亨 (翻訳)

文庫: 302ページ
出版社: 東京創元社
言語 日本語
ISBN-10: 4488242057
ISBN-13: 978-4488242053
発売日: 2012/4/27


フランク・ヒューイットは芸能界の大スター。殺し屋の“わたし”は彼の殺害を依頼され……。二転三転するスター暗殺劇の意外な顛末を描いた英国推理作家協会短篇賞受賞作のほか、刑事の相棒に赤ん坊が採用され一緒に捜査を行う「マイロとおれ」、買いものリストだけで成り立つ異色作、ミステリ出版界の裏事情を語る一篇など多彩な12作。奇想とユーモアあふれる傑作短篇集をお楽しみください。解説=野崎六助

 さて、このブログは通勤途上で読んだ本が主な紹介対象。
 長編は続けて読めるのだが、ときおり、調子にのって読み進んだおかげで時間があまったりすることがある。こういうとき短編集は重宝する。とくにこういう超短編、おまけに変化にとんだ作品ばかりで、長編小説のあいまに読んでも、どちらにも影響しないというのはありがたい。

 この画像を見て頂こう。
 本作品の英語版表紙。


 「マイロとおれ」milo and i
というのが、原題。
 赤ん坊と刑事が一緒に事件の捜査をするというとぼけた話だが、そのハードボイルドさと人を食ったおちゃらけさがみごとに表現されている。
 テディベアに向けられた銃口、警察のIDカードをおもちゃにする子供。困惑する刑事の顔が出て来ないが、想像するだに面白い。
 作品集全体がこんな調子。

 12編あるのだが、日本版タイトルの「フランクを始末するには」には、今のTV業界、マスコミ業界への皮肉がもられていて、日本人好みの一作だなと納得。

 どこかでふれられていたのだが、「買いもの」という作品など、買い物リストだけで事件が発生してその起承転結が見事に想像出来るという希有な作品。これだけでも立ち読みすれば、面白いと思われる。

 立ち読みはともあれ、この短さで、それなりに内容が濃い作品ばかり。いやはや、世界にはいろんな作家がいる、とあらためて感心。
 

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