2009年12月2日水曜日

「美味しんぼ」103巻 



「美味しんぼ」103巻 
日本全国味めぐり・和歌山編 2009年10月5日刊。

ほぼ1年ぶりの美味しんぼ。
冒頭、新聞社の経営危機の話題から始まるところは、きわめてタイムリー。ぼくには身につまされる話題だ。そして、「文化のない新聞はインターネット以下だ」と言い切る東西新聞社の谷村文化部長に乾杯。あれ、最近の釣りバカ日誌のゲストと同じ名前だね。

茶粥のはなしから、和歌山と房総半島の関わり、そして醤油の話題に入っていく導入部。すでに雄山と山岡の和解がかなっているわけで、今回は特に新聞社を盛り立てていこうという目論見もあるからか、双方からの辛らつなやりとりもないし、平和的に全国味めぐりの対決が進んでいく。

高野山の話題の中に出てくる、高野山中腹の「花坂餅」は、ぼくも時たま買って帰ったりするが、あらためて漫画の中に登場してくれて嬉しくなる。そして最後には日本の味文化を集約したかのような精進料理が供される。でもこれはやはり高級料理以外の何物でもない。

高級料亭やグルメを排して、庶民の味から、素材そのものを生かした料理の危機を訴え続けるこの作品のセオリーは今回も守られている。だが、その目標とする料理はいまや高嶺の花になりつつある、と思ってしまう。

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